9歳になったばかりの頃、白血病に

小さい頃から食べることとダンスが大好きで、健康優良児だった私にとって、この診断は信じられないものでした。突然の入院、友達との別れ、髪の毛が抜けることなど、辛い話ばかりが続きました。

しかし、ママがいつもそばにいてくれたおかげで、不思議と恐怖は感じませんでした。それよりも、大好きなママが泣いている姿を見ることが何倍も辛かったです。

長い治療を経て、一度は日常生活を取り戻しましたが、1年後に再発し、さらに過酷な治療が待っていました。骨髄移植のために遠くの病院に転院し、最初は新しい環境に馴染めず、孤独と不安を抱えました。

しかし、同室のファシリティドッグのマサくんとの出会いが、私の心を癒してくれました。マサくんは、言葉がなくても心が通じ合い、彼の存在が私を支えてくれました。彼がいると、部屋の空気が一瞬で明るくなり、治療に向かう勇気が湧いてきました。

ダンスを通じて病気と闘う人々に笑顔を届けたい

退院後、顔や体が副作用で浮腫み、学校に通えなくなったことは精神的にとても辛いものでした。病気を経験し、大人にならされたことで、周りと馴染めない自分が嫌になりました。しかし、親友の「無理しなくていいよ」という言葉に何度も救われました。治療を終えても髪の毛が生えず、偏見や差別に苦しんだ時期もありましたが、新しいダンススタジオで自分を受け入れてもらい、再びダンスへの情熱を取り戻しました。

病気を乗り越えて再びステージに立つことができたことを、今では誇りに思っています。これからは、再発の恐怖を抱えながらも、白血病を乗り越えた一人の人間として、ダンスを通じて病気と闘う人々に笑顔を届けたいと考えています。

スピーチ発表を終えてみて

――仲間とのスピーチ練習でよかったことや心が動いたところを具体的に教えてください。

自分以外の詳しい治療の話はあまり聞く機会がなかったから、「辛いのは自分だけじゃないんだな」と感じました。

――本番の仲間のスピーチでよかったところや心が動いたところを具体的に教えてください。

英語のスピーチがかっこよかった!

――あなた自身が、SIOPこどもスピーチで話してみて、よかったこと、印象に残ったことを具体的に教えてください。

みんなの前で泣かずにスピーチできて良かったです。今回自分は日本語でのスピーチだったので、いつか英語でスピーチしてみたいです。

――SIOPこどもスピーカーに応募する前と本番で話した時の自分を比べた時、違っているところがあるとしたらどんなことですか? あるいは頑張ったな、と自分を褒めてあげたいことはどんなことですか?

自分の治療のことを振り返る機会がなかったからあらためて思い出して辛い気持ちにもなりました。でも、振り返った事で少し心の整理がつき、また前を向くことができた気がしました。

こんな辛い治療を乗り越えて、また元気を取り戻すことができてとても嬉しいです。

――今後も多くの皆さんに小児がん経験を話していただく場を作っていきたいと考えています。ブログやSNSを通じて、今一番伝えたい思いを教えてください。

病気になり絶望感でいっぱいの時もありました。

このまま死んだ方がマシとも思うくらい辛い瞬間もありました。でも元気な自分を取り戻すことを諦めないで頑張りました。辛い時間は長かったけど必ず元気になる事だけをイメージしてました。闘病は辛かったけど気持ちだけはいつも病気なんかに負けてたまるか!と思ってました。

病気と闘うポジティブ思考が、とても大切だと思いました。

――今後、どんなところでご自身の経験をお話してみたいですか。

次回話すときは、病気とは全く関係ない、普通に生活している人たちの前で話すのが良いかなと思います。

何も知らないからこそ、感じるものが多いのではないかな、と思うからです。小児がんや難病のこどもたちのことを既に知っている人がさらに深掘りして聞くというよりも、いろいろな人にこういうことを知ってもらうことの方が大切だと自分は思います。

最初は広く浅く、まずは話を聞いてもらい、知ってもらうことが大事だと思います。そうして、その後、より深く知ってもらえるようになれば、さらに嬉しいな、と思います。

べにかさんの発表動画をご覧ください!

SIOP Asia 2024(第16回国際小児がん学会アジア大会)でのランチョンセミナー「小児がん経験者は語る!~わたしたちが伝える未来につながるまなび~(Making Their Voices Heard!:Pediatric Cancer Survivors Share Stories of Learning, Resilience and Growth)」にて登壇されたべにかさんの発表動画はこちら

-   Special Thanks - 
今回の発表の場は、公益財団法人ベネッセこども基金の共催により実現し、全面的に運営サポートいただきました。 この場を借りて、ご支援いただきました皆様のご厚意に心よりお礼申し上げます。