SIOP Asia 2024(第16回国際小児がん学会アジア大会)でのランチョンセミナー「小児がん経験者は語る!~わたしたちが伝える未来につながるまなび~(Making Their Voices Heard!Pediatric Cancer Survivors Share Stories of Learning, Resilience and Growth)」にて登壇されたまことさんの発表内容と感想、そして当日の動画の紹介です。

小学校二年生からの小児がんとの闘い

僕が初めて小児がんを経験したのは、小学校二年生の時でした。松果体に胚細胞腫瘍ができ、その後、小学校五年生で再発しました。二年生の時の入院生活の記憶はあまり残っていませんが、保育士さんと庭園で遊んだことを覚えています。

しかし、再発時の抗がん剤治療では、食欲がなくなり、髪の毛が抜け、体重が30kgから20kgまで減少しました。食べ物が喉を通らない日々は本当に辛く、特に大好きなお寿司が食べられなかったことは苦痛でした。また、病院食が口に合わず、栄養士さんが特別にメニューを変更してくれたこともありました。

入院中、僕を支えてくれたのは医療従事者の皆さんです。4回の手術を経験しましたが、主治医であるロッククライミングが得意な先生を信頼していたので、不安や緊張はほとんど感じませんでした。看護師さんたちも、いつも笑顔で接してくれたり、ハロウィンには仮装して病室を回ってくれたりして、僕たち入院患者を楽しませてくれました。

こうした経験を通じて、僕自身も人に優しく接することの大切さを学びました。

自分が助けられたように、今度は僕が他の人を助ける立場になりたい

治療後、体力が落ちた僕は以前のように運動を楽しむことができなくなりましたが、高尾山登山を通じて「体力に自信がない子も健常者もみんなで一緒に挑戦する楽しさ」を伝えたいと考え、活動を続けています。

また、高校生の時にはシャイン・オン!キッズのキャンプカレッジに参加し、仲間たちと「生禁ブルース」という歌を作って発表しました。こうした経験を経て、僕は一人で外出できるようになり、自己成長を実感しました。

将来の夢は、自分が助けられたように、今度は僕が他の人を助ける立場になることです。理学療法士を目指して大学で勉強を続け、困難に直面している人々を支える力を身につけたいと思っています。

スピーチ発表を終えてみて

――仲間とのスピーチ練習でよかったことや心が動いたところを具体的に教えてください。

皆、色々な経験をしていて、それぞれに自分自身も共感できたことです。

――本番の仲間のスピーチでよかったところや心が動いたところを具体的に教えてください。

喋り方を変えたり身振りを加えたり工夫していて、より内容が伝わって心が動きました

――あなた自身が、SIOPこどもスピーチで話してみて、よかったこと、印象に残ったことを具体的に教えてください。

経験談を語ることができて、皆の色々な思いが伝わったことです。

――SIOPこどもスピーカーに応募する前と本番で話した時の自分を比べた時、違っているところがあるとしたらどんなことですか? あるいは頑張ったな、と自分を褒めてあげたいことはどんなことですか?

喋り方や身振り手振り、英語の発音などです。

――今後も多くの皆さんに小児がん経験を話していただく場を作っていきたいと考えています。ブログやSNSを通じて、今一番伝えたい思いを教えてください。

小児がんで長期の入院を経ていく中、学校生活にブランクがあったけれど、どんなに困難な状況でも希望を持ち続けて進んでいく自分を伝えたいと思います。

――今後、どんなところでご自身の経験をお話してみたいですか。

次回話すときは、病気を持つ子どもたちの親御さんや家族の関係者の前で話したいと思います。小児がんや難病になったことについての体験や経験を分かち合ってるから、話が伝わりやすいのではないかと思うので。

まことさんの発表動画をご覧ください!

まことさんの発表動画はこちら

 -   Special Thanks -

今回の発表の場は、公益財団法人ベネッセこども基金の共催により実現し、全面的に運営サポートいただきました。

この場を借りて、ご支援いただきました皆様のご厚意に心よりお礼申し上げます。