シャイン・オン！キッズ スタッフのアレザ美咲は、留学先のアメリカで小児がんの闘病を経験しました。 家族と離れて異国での治療、日本とは違う入院生活、がんになって学んだこととは？ 貴重な経験談をご紹介します。 聞き手は、同じくスタッフで小児がん経験者のゆりあです。
その１「病気に気づいたとき」
その２「病院で出会った素敵な人たち」
その３「遂に診断、治療の開始」
その４「病院でパーティ！？」
その５「アメリカの病院はこんな感じ！」
その６「治療が一段落してからの留学生活」
その７「治療を経て見つけた将来」
の７回に分けてお届けします。
プロフィール
アレザ美咲
1996年生まれ26歳、大阪府出身。
2015年に単身でアメリカ・カリフォルニア州へ留学。現地の学校でジャーナリズムを専攻。
在学中の2016年5月19歳の時に、悪性リンパ腫ステージ3と診断される。
現地の小児病院で化学療法、放射線治療、移植治療を受け、2017年に寛解。
現在一児の母で育児奮闘中。
その２「病院で出会った素敵な人たち」
大学の保健師さんと一緒に急いだ病院では、どのような流れだったのですか？
病院に到着し、緊急外来の窓口に立った瞬間、受付の人が私を見てすぐに診察室に案内してくれました。
体重を測ると、アメリカに到着してから約1年半で45kgも減っていました。その数字を見たとき「あ、これは何らかの病気にかかっているんだな」と初めて確証を得ました。
そこから、血液検査、胸のレントゲン、CTなどをして、検査がすべて終わった頃には、すでに夕方だったと記憶しています。
本当に流れるような時間で、理解していくのはとても大変ですよね。
そうですね。おそらく検査や治療のことを聞いたと思うのですが、私は気が遠くなって記憶があまりありません。
ただ、その日はアパートに帰してもらえず即入院しないといけなかったこと、学校の保健師さんが夜中だったのに病室まで送り届けてくれたことは覚えています。その保健師さんには、今でもとても感謝しています。
突然、入院になり、身の回りの手続きや準備は、どうしたのですか？
翌日、目を覚ますと、たくさんの病院関係の人が入院書類の準備、学校への連絡、日本の家族へ連絡をするために駆けつけてくれました。
記憶が曖昧な所もありますが、一番印象的だったのはチャイルドライフスペシャリストの人が病室まで着替えやシャンプーを届けてくれたついでに、私の髪の毛を三つ編みに結んでくれたことでした。
やせ細った私をみても「必要なものがあったら、いつでも言ってね」と笑顔で接してくれました。
その日再度検査をして、悪性リンパ腫の一種であるホジキンリンパ腫のステージ3であると告げられました。
そこで病名がわかったのですね。
突然始まった、闘病生活で支えになったことはどんなことですか？
私の場合、留学生で家族が近くにいるわけではなく特殊だったので、病院中の方に本当に力を貸していただきました。
特に主治医は私の病室に診察に来るたびに「Hi! My favorite Japanese girl!」と満面の笑顔で接してくれました。
ソーシャルワーカーさんも私が入院している間、必要な書類や通院用の交通手段の手配など数々のことをお手伝いしてくださいました。
がん科の病棟に入院していたのですが、その病棟は1番人数が多い部屋でも2人部屋で、他は全て1人部屋でした。
私はずっと1人部屋で、夜の孤独は言葉にならないほどの虚無感を味わいますが、そんな中でも、朝を無事迎えたときに窓から見える景色に毎日癒されていました。
医師やソーシャルワーカーなど、身近に支えてくれる大人がたくさんいたのですね。
その中でもアメリカだからこその、支援はありましたか？
チャイルドライフスペシャリストの人たちには、本当に精神的に助けてもらいました。
入院期間中は、ほぼ毎日病室に会いに来てくれて、30分ほど他愛もない学校の話や恋愛の話をしたり、まるで一緒に闘っている友のような存在でした。
その中でも親友のような存在になった人もいて、その人は”Dance in the rain”「辛いことがあっても一緒に踊って笑って乗り越えていこう」という言葉をかけてくれました。
その２では、留学中の闘病のなかで、支えてくれた多くの人との出会いをお話ししました。
次回その３は「診断と治療の開始」のお話
支えてくれた人と一緒にたたかった治療の様子とは？
つづく…
その１「病気に気づいたとき 〜留学開始から体に感じた違和感〜」はこちら